2015年4月から2年間にわたって毎日新聞大阪本社版に連載された「異教の隣人」をもとに加筆・再構成したもの。関西各地にある様々な宗教の施設を訪れ話を聞く内容だ。
取り上げられているのは「イスラム教」「ジャイナ教」「ユダヤ教」「台湾仏教」「シク教」「ベトナム仏教」「ヒンドゥー教」「韓国キリスト教」「ブラジル教会」「正教会」「コプト正教会」など。宗教だけでなく民間信仰や祭事の話も出てくる。
もともと、日本の地域コミュニティは「お寺」や「神社」を核として構築されてきました。でも、そのカタチは都市部を中心に大きく変化しています。
宗教は「死者とどう向き合うか」という人類独自の課題を担っています。この世界はけっして生者だけのものではありません。生者は死者と共に暮らしています。
同じ信仰、生活様式、言語、食習慣を持つ人が集う場があるから暮らしていける。特有の行動様式や価値体系の蓄積が宗教だと考えるなら、異文化の中で暮らしている人にとって、自分たちの宗教的土壌を感じられる場は必要となってきます。
宗教について考えることは、狭い意味での「宗教」だけでなく、文化や社会、生活様式、生き方、コミュニティ、相互理解、マイノリティなどについて考えることでもあるのだった。
2018年10月30日、晶文社、1650円。