2023年09月29日

松平盟子『与謝野晶子の百首』


「歌人入門」シリーズの8冊目。
副題は「光と影を含む多様な歌世界」。

与謝野晶子の短歌100首を取り上げて鑑賞・解説をした本。大きな特徴はテーマ別に12の章に分けられていること。「恋」「十一人の子の母として」「社会を見る眼差し、都市生活者の思い」「西洋との遭遇、旅と思索」など。

初めて知る歌もあって、晶子に対する興味がまた増してきた。

秋来ぬと白き障子のたてられぬ太鼓うつ子の部屋も書斎も/『青海波』
腹立ちて炭まきちらす三つの子をなすにまかせてうぐひすを聞く/『青海波』
花瓶の白きダリヤは哀れなりいく人の子を産みて来にけん/『さくら草』
女より智慧(ちゑ)ありといふ男達この戦ひを歇(や)めぬ賢こさ/『火の鳥』
ついと去りついと近づく赤とんぼ憎き男の赤とんぼかな/『朱葉集』

このシリーズは右ページに短歌1首、左ページに250字程度の鑑賞となっていて、とても読みやすい。まさに入門編として最適だと思う。

2023年7月7日、ふらんす堂、1700円。

posted by 松村正直 at 09:10| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。