2023年09月13日

叶内拓哉『鳥に会う旅』


副題は「野鳥写真家が綴る日本全国野鳥撮影紀行」。

1991年に世界文化社から出た単行本を30年ぶりに復刊・文庫化したもの。「写真は、印刷関係のデジタル化により、初版時のものとは別のものを多数使っている」とまえがきに記されている。

「出水のツル」「道東のタンチョウ」「羅臼のワシ」「大栗川のヤマセミ」「立山のライチョウ」「対馬の珍鳥」「根室のシマフクロウ」「南部のコノハズク」「屋我地のアジサシ」「蒲生のコバシチドリ」「伊良湖岬のタカ渡り」「伊豆沼のガン」と、各地に出掛けている。

丹頂鶴。日本人なら誰でも知っているだろうこの鳥の本名は、ただのタンチョウである。日本では現在までに七種類のツルが記録されているが、そのなかで名前にツルと付いていない唯一のツルである。
晴天が何日か続いたときなどは、佐護の田んぼに全く鳥影がないという日もある。天気がいいと、渡り鳥たちは対馬に降り立って休む必要がないわけで、どんどん頑張って次の目的地まで飛んで行ってしまうからだ。
野鳥写真を撮っていて、いちばん難しいと思うのは、夏らしい写真を撮ることである。(…)夏を代表する花、誰が見てもすぐに夏の花だと分かるものとなると、ヒマワリかアサガオあたりか。しかし、これらの花に野鳥が止まることはほとんどない。

著者の撮影したカラー写真が100点くらい載っていて美しい。初めて知った鳥も多いのだが、どの鳥も命名がわかりやすい。「キガシラセキレイ」は頭部が黄色いし、「アカエリカイツブリ」は首が赤い、「キマユホオジロ」は目の上に黄色い線が入っているといった感じで、何だかおもしろい。

2022年2月15日、世界文化社 モン・ブックス、1600円。

posted by 松村正直 at 09:09| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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