2023年07月28日

「歌壇」2023年8月号

坂井修一の対談シリーズ「うたを生きる、うたに生きる」の第7回。永田和宏との対談がおもしろかった。

印象に残った箇所を引く。

永田 最近、もう一つ、「手渡す時間」がすごい大事だと思っている。時間って直線的に流れて行くと思っているんだが、実は一つ一つ手渡されているという意識がないと流れていかないんじゃないか。これは物理的な時間とはちょっと違って、生物学的な時間でもある。
永田 それが、さらに日本人の中のアイデンティティの分裂と言うか、ギャップを生んでいて、つまり日本人は江戸から明治と続いてきた自分たちの歴史を一つのものとしてなかなか実感できないところがある。
坂井 日本の伝統の中でも良いものは、近代短歌がつなぎ損なったものも多い。それは、文化伝統を継ぐ立場としては、恥ずかしいことではないかと思うことがあります。
坂井 基本はすごくピュアで、多くが単純なものなんだけど、それゆえに深いものがあるんですよね。そこへカジュアルにつなげられるかどうか、すごく難しくて、私がいちばんうまくいってないことかもしれない。岡井さん、塚本さんなどもそうです。

それぞれの問題意識がはっきりと出ていて、印象に残った。

posted by 松村正直 at 07:04| Comment(0) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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