副題は「人工心臓、トイレ、万年筆、五十塔…」。
「たかもく本の店」で購入した20年前の新書。モノ作りの職人を訪ねて話を聞くシリーズで、全10話を収めている。私はこういう「見て歩く系」の本が好きで、つい見かけると買ってしまう。
印象に残った発言を引く。
送電鉄塔って、鉄塔だけではだめで、電線があってはじめて完成なんですね。だからマイクロ鉄塔や電波塔みたいに、塔だけとはちがって、電線が張られて、はじめて美しくなるんですよ。(東京電力株式会社 本郷栄次郎)
じつは、外国の万年筆のメーカーさんにとって、いま、世界最大の万年筆のマーケットは日本なんです。世界では、いまの日本と同じように、圧倒的に簡便なボールペンが主流で、ほとんどがそれです。(潟pイロット 広沢諄一)
焼き物は、やっぱり中国が本家ですからね。戦争で中国に行ったということは、私にとって、本当にプラスになったんですよ。あれが、別のどっか島にでもほっぽりだされてたら、もう、目も当てられんですね。(走波焼き五代 佐藤走波)
文中に「弟のリンボウ先生」という記述があって、初めて著者と林望が兄弟だと知った。
2002年3月20日、集英社新書、700円。