2023年06月04日

稲垣栄洋『はずれ者が進化をつくる』


副題は「生き物をめぐる個性の秘密」。

毎年何点もの新刊を次々と出している人気植物学者が、若者向けに書いた本。雑草などの植物の生態についての話をもとに、教育論・人生論を展開している。

雑草は図鑑どおりではありません。それが何よりの魅力です。/図鑑には春に咲くと書いてあるのに、秋に咲いていたり、三〇センチくらいの草丈と書いてあるのに、一メートル以上もあったり、そうかと思うと五センチくらいで花を咲かせていたりします。
激しい競争が行われている自然界ですが、そんな中で、生物はできるだけ「戦わない」という戦略を発達させています。ナンバー1になれるオンリー1のポジションがあれば、そんなに戦わなくても良いのです。
どこにでも生えるように見える雑草ですが、じうはたくさんの植物がしのぎを削っている森の中には生えることができません。/豊かな森の環境は、植物が生存するのには適した環境です。しかし同時に、そこは激しい競争の場でもあります。そのため、競争に弱い雑草は深い森の中に生えることができないのです。

身近なわかりやすい例を取り上げて、そこから意外な話や深い話へつなげていくところが鮮やかだ。

2020年6月10日第1刷、2021年10月25日第7刷。
ちくまプリマ―新書、800円。

posted by 松村正直 at 11:36| Comment(3) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
昨年ベランダの植木鉢に3つ蒔いたフウセンカズラの種子が1つだけ芽吹き、50個ぐらい種子が取れました。元はと言えば大阪市内の保育園の子供たちが飛ばした風船に結わえられていたものです。
採取した50個のうち3つだけは今年また植木鉢に蒔きましたが、残りの種子を捨てるに忍びず、近所の空き地の雑草が生えているような所に少しずつ蒔いてきました。時々見に行くのですが、しかし2週間経っても3週間経っても芽生えてくる気配がありません。きっと雑草との競争に負けたのだと思います。
なおベランダのフウセンカズラは5つのうち2つだけ発芽して、順調に育っています。植木鉢には何処からか飛んできたらしいヒメツルソバが繁茂しているのですが、こちらとは仲良く共生しています。
Posted by 小竹 哲 at 2023年06月05日 06:37
小竹さん、コメントありがとうございます。
風船に付けてフウセンカズラの種を飛ばすって、何だかおもしろいですね。わが家はベランダで毎年朝顔を育てています。種を10個ほど植えると数百個の種が取れます。植物の生命力はすごいものです。でも、残りの種を空地に蒔いても確かにあまり芽が出ません。芽生えてもひょろひょろと細く、蔓を伸ばすことなく小さな花を咲かせて終わってしまいます。
Posted by 松村正直 at 2023年06月05日 22:57
【誤】50個のうち3つだけは
 ↓
【正】50個のうち5つだけは

(いつも書き込む前にちゃんと見直せばいいのですが・・・汗)
Posted by 小竹 哲 at 2023年06月05日 23:43
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