「第一章 元禄期」から始まって「第十三章 明治後期〜現在」まで、国学の展開を通史的に記した概説書。一般向けに理解しやすく書かれていて、ありがたい。
短歌をやるなら国学を知らないと、というわけで、これから少し国学関連の本を読んでいきたいと思う。知らないことがたくさんある。
国学とは近世中期に発生した、後世の文献や外国の思想に依拠することなく、日本古典の文献実証を行い、それを通じて古代の文化を解明しようとする新たな研究方法による学問である。
「国学」と一口に言っても実に幅広い。言語、文学、和歌、歴史、宗教、神道、法律、有職故実、政治、天文、暦学、地理、民俗など、多くの分野に及んでいる。今で言うJapanology(日本学)のようなものだ。
彼ら(国学四大人)はいずれも、自らの学問に「和学」や「古学」「皇国学」「本教学」などの名称を用いており、近世期には一定した名称はない。国学の語が定着するのは近代の一八八〇年代以降のこととなる。
「国学」の始まりは近世であるが、「国学」という名前は近代のもの。つまり、国学は純粋な学問であるとともに、明治の近代国家形成とも密接不可分な関わりを持っている。そのあたりが、少し近寄りにくい点でもあるのだろう。
契沖、荷田春満、賀茂真淵、本居宣長、平田篤胤をはじめ、おそらく200〜300名くらいの人物の名前が登場する。その昔、古典や日本史、倫理などで習ったかすかな記憶が甦ってきて、何だか懐かしい気分になった。
2022年3月20日、ぺりかん社、2200円。