2023年05月04日

やまだ紫『しんきらり』


初出は「ガロ」1981年2・3月合併号〜1984年10月号。

青林堂から刊行された単行本『しんきらり』(1982年)と『続しんきらり』(1984年)をあわせて文庫化したもの。

会社勤めの夫と二人の娘を持つ主婦の日常を描いたマンガ。40年前の作品であるが、時代を超える力を持った名作だ。

巻頭に河野裕子の自選歌集『燦』(1980年)から「菜の花」9首が引かれている。

しんきらりと鬼は見たりし紫の花の間(あはひ)に蒼きにんげんの耳
夕闇はげんげ畑より拡がりて鬼ゐる菜畑なかなか昏れぬ
菜の花に首まで隠れて鬼はひとり 菜の花に跼みて待ちゐてひとり

元は第2歌集『ひるがほ』(1976年)収録の連作「菜の花」15首より。タイトルの「しんきらり」もこの1首目から取られている。

2023年4月20日、光文社文庫、800円。

posted by 松村正直 at 08:48| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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