2023年03月23日

連想

短歌を読んでいると、別の歌や句が思い浮かぶことがある。
別に影響うんぬんではなく、「似ている」ことはそれだけで面白い。

入れものが無い両手で受ける
          尾崎放哉『大空』

手のひらに豆腐をのせていそいそといつもの角を曲りて帰る
          山崎方代『右左口』
新しきからだを欲しと思ひけり、
 手術の傷の
 痕を撫でつつ。
          石川啄木『悲しき玩具』

病むまへの身体が欲しい 雨あがりの土の匂ひしてゐた女のからだ
          河野裕子『母系』

posted by 松村正直 at 14:29| Comment(4) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やや連想が飛躍しますが、啄木と河野裕子さんの歌から、私は詩人・矢沢宰(1944-1966)の詩を思い出しました。

私はいつも思う
石油のように
清んで美しい小便がしたい と。
しかも火をつければ
燃えるような力を持った
小便がしたい と。
(「私はいつも思う」)

矢沢は8歳の時に腎臓結核を発症、入退院を繰り返し、血尿に苦しみながら、21歳で早逝しました。
矢沢の詩集『光る砂漠』から9篇を選んで作られた合唱組曲(萩原英彦作曲)は透明で美しいです。私はそれで矢沢のことを知りました。

Posted by 小竹 哲 at 2023年03月23日 20:04
小竹さん、コメントありがとうございます。
矢沢宰という詩人を初めて知りました。「燃えるような力を持った小便」は印象的な表現ですね。血尿に苦しんでいたという背景を知ると、さらに力強さを感じます。

別件ですが、『宝塚少女歌劇、はじまりの夢』をお贈りいただきありがとうございました。楽しみに読ませていただきます。
Posted by 松村正直 at 2023年03月24日 08:55
尾崎放哉ですね。
Posted by 鈴木竹志 at 2023年03月31日 19:52
鈴木さん、ありがとうございます!
訂正しておきました。

Posted by 松村正直 at 2023年03月31日 20:08
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