入れものが無い両手で受ける 尾崎放哉『大空』手のひらに豆腐をのせていそいそといつもの角を曲りて帰る 山崎方代『右左口』
新しきからだを欲しと思ひけり、 手術の傷の 痕を撫でつつ。 石川啄木『悲しき玩具』病むまへの身体が欲しい 雨あがりの土の匂ひしてゐた女のからだ 河野裕子『母系』
私はいつも思う
石油のように
清んで美しい小便がしたい と。
しかも火をつければ
燃えるような力を持った
小便がしたい と。
(「私はいつも思う」)
矢沢は8歳の時に腎臓結核を発症、入退院を繰り返し、血尿に苦しみながら、21歳で早逝しました。
矢沢の詩集『光る砂漠』から9篇を選んで作られた合唱組曲(萩原英彦作曲)は透明で美しいです。私はそれで矢沢のことを知りました。
矢沢宰という詩人を初めて知りました。「燃えるような力を持った小便」は印象的な表現ですね。血尿に苦しんでいたという背景を知ると、さらに力強さを感じます。
別件ですが、『宝塚少女歌劇、はじまりの夢』をお贈りいただきありがとうございました。楽しみに読ませていただきます。
訂正しておきました。