2023年03月08日

佐々木ランディ『水中考古学』


副題は「地球最後のフロンティア」。
洋書のようなシャレた装幀に引かれて手に取り購入した本。

水中考古学の概要や実際の調査の方法などが、わかりやすく書かれている。以前、九州国立博物館で元寇で使われた「てつはう」を見て以来、この分野には少し興味を持っている。

井上たかひこ『水中考古学』
https://matsutanka.seesaa.net/article/432451230.html

沈没船というとタイタニック号のように深海に沈んでいる船をイメージする人も多いかもしれないが、ほとんどの沈没船は海岸線近くに沈んでいる。早い話が陸地近くは座礁しやすいのだ。
水中遺跡の調査には地元民の協力が不可欠だ。多くの人は水中遺跡なんて自分とは縁がないと思っているが、実は漁業関係者やダイバーこそ遺跡を発見する最前線にいる。彼らの話こそ最も有益な情報源となる。
水中遺跡の調査は、日程調整も陸とはちょっぴり違う。先ほども書いたが、雨が降ってから海水が濁りだすまでタイムラグがあるため、たとえ晴れていても調査ができないことがある。海底遺跡の調査は、空の天気と海のコンディションの両方を把握する必要がある。
ケニアのンゴメリ沈没船やこのオラニエムント沈没船を見ると、ポルトガルの大航海時代の船は、アフリカ西海岸で交易をしながらアジアを目指して航海をしていた様子がわかる。我々のイメージでは、ポルトガルから出た船が一直線に喜望峰を回り、インド・アジアを目指したような印象を受けるが、実際は多かれ少なかれ港を転々としながら交易や食糧の補給を行ない進んでいた。

何とも面白そうな話ばかりだ。

国内にも水中遺跡は数多くあり、先日吟行で訪れた琵琶湖北部にも葛籠尾崎(つづらおざき)湖底遺跡資料館があるそうなので、またいつか行ってみたい。

2022年2月28日、エクスナレッジ、2200円。

posted by 松村正直 at 09:15| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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