知識人は人間の操作に熱中する。ソヴィエト・ロシアの卓越したインテリゲンチャは、自然を手馴づけ支配するために巨大な計画を実施するが、この計画を人間を手馴づけ統制する手段として利用する。知識人は人々を放っておこうとはしない。
今朝思ったのだが、私がくつろげるのは波止場にいるときだけだ。私はこれまでどこに行ってもアウトサイダーと感じていた。波止場では強い帰属感を持つ。もちろん、ここに根がおりるほど長くとどまっているのも一つの理由である。しかし、ここでは一日目からくつろいでいたように思う。
二億のアメリカ人は、ほとんどがヨーロッパの余計者や落伍者の子孫なのに、アメリカで、この惑星上で、もっとも重要な物質力を創り出したことが、私には奇跡に思える。(…)アメリカで起った先例のないできごとは、大衆に起ったものである。歴史上大衆が自分の力だけで何ができるかを示す機会を持ったことはなかったのである。
自由という大気に中にあって多くを達成する能力の欠けている人々は権力を渇望する。
絶対的な権力はその所有者を、神のごときものにではなく神に反するものに変えてしまう。神は粘土を人間に作り変えたが、絶対的な暴君は人間を粘土に変えるからである。
日記の記述はだいたい、その日の仕事のことから始まる。「第二十六埠頭、ドイツ船ドルトハイム号、九時間」「第十九埠頭、オランダ船ロンボック号、八時間」など。
「第四十埠頭、ハコネサン丸、八時間」とあるのは、日本船「箱根山丸」だろう。1954年に竣工した大阪商船三井船舶の定期貨物船だ。
https://ameblo.jp/italymaru/entry-12654562563.html
沖仲士としての肉体労働と読書や著述。ホッファーにはそれが心身の良いバランスを生んでいたようである。
2014年9月10日第1刷、2020年1月10日第4刷。
みすず書房、3600円。