歌会というのは読みを競い合う場だと、若い頃は思っていた。誰の読みが鋭いか、誰が一番深く読むことができるか。参加者それぞれが自分の読みを披露して、最も良い読みを出した人が勝ちというようなイメージ。
それが、年とともにだいぶ変ってきた。歌会というのは参加者が協力し合う場だと今では思う。参加者全員で歌の魅力を最大限に引き出し、また問題点を浮かび上がらせる。競争ではなく共同作業。
誰にだって得意・不得意がある。鳥の名前に詳しい人もいれば、時事問題に明るい人もいる。文法に強い人、韻律に敏感な人、和歌をよく知っている人、歌に込められた感情を読み取るのが巧みな人、いろいろな人がいる。そんな全員で力を合わせて一首を読み解いていく。
「良い読み」だけが歌会で求められるのではなく、「普通の読み」も「今ひとつな読み」も必要だ。「普通の読み」があって、初めて「良い読み」の良さがわかる。だから、まずはいろいろな読みが出ることが一番大切だと思う。
別に自分が得点を決められなくても、最終的にチームが勝てばいい。
そんな感じで歌会に臨めば気も楽だし、たくさんのことを学べるのではないだろうか。
なかなか思うように読めないことの多い私は、歌会で「今、私は背伸びしてるな」と思うことがあります。鋭い読みに出会うと「うーん。そうか」と納得することも。そんな時ふくらんでいく自分を感じます。
お互いの読みを自分のことばで話せる歌会の雰囲気も大切にしたいと思っています。久々に伝えたい気分になりました。
「お互いの読みを自分のことばで話せる歌会の雰囲気」って、本当に大切ですね。そういう雰囲気を生み出すにはどうすればいいのか、あれこれ考えているところです。