ストランディングネットワーク北海道の副理事長を務め、クジラの食性について研究している著者が、自らの研究者としての履歴や研究内容について記した本。
クジラの「ストランディング」(漂着・座礁)については以前にも読んだ記憶があり、同じ本を買ってしまったのかと思ったが別の本であった。
田島木綿子『海獣学者、クジラを解剖する。』
https://matsutanka.seesaa.net/article/484281329.html
ちなみに、本書にもこの田島さんは登場する。
今、世界では91種の鯨種が確認されている。そのうち日本周辺では、なんと41種もの鯨類が確認されている。
クジラの胃内容物からイカの新種が見つかることだってある。深海からクジラがイカを運んで来てくれているのだ。
ストランディングというのはだいたいタイミングが悪い。何かやろうと計画しているときに限って何か打ち上がりがちだ。ストランディング調査を任せてもらえるようになってから、ストランディングが発生すればすべての予定をキャンセルして調査に行く。
道内でストランディングがあったと連絡を受けると、著者はすぐに現地へ調査に出掛ける。「函館から羅臼までは車で10時間くらいかかる」「函館―稚内間は意外と9時間くらいで行ける。稚内で1泊したあと、朝イチのフェリーで利尻島を目指した」といった具合だ。
北海道は広い。そして、研究者には体力が必要なのであった。
2021年12月3日、ナツメ社、1300円。