2023年01月19日

平田オリザ『ともに生きるための演劇』


「学びのきほん」シリーズの1冊。

演劇教育やワークショップを通じて、対話やコミュニケーションの方法を広めている作者が、これからの時代に演劇が果たす役割について記した本。

「多様なままでともに生きる世界」を成り立たせるためには、何よりも「対話」の力が必要です。そのような「対話」の力は、演劇を通してこそ、確実に学ぶことができると私は考えています。
演劇は、「世界を見る解像度を上げる」ことができる。演劇には、日常生活では見えないものを顕在化させる働きがあるのです。
演劇に限らず、「共同体の中で最も弱い人をどう活かすか」ということが、全体のパフォーマンスを上げる秘訣なのです。黒澤明の『七人の侍』でも若くて弱い侍が登場するように、集団のドラマでは必ずその中に弱い人が含まれています。
私は、社会のセーフティーネットとして、自由に参加することや離脱することが可能で、趣味や嗜好によって集まり、離合集散を繰り返しながらゆるやかに発達していくような「関心共同体」を作ることが必要だと考えています。

これらはすべて「演劇」についての話なのだが、おそらく「短歌」や「歌会」や「結社」にも当て嵌まることではないだろうか。

2022年8月30日、NHK出版、670円。

posted by 松村正直 at 22:39| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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