2022年12月19日

服部文祥『アーバンサバイバル入門』


登山家で猟師でもある著者が、横浜の自宅で行っている自力生活のノウハウを、写真700点・イラスト50点とともに詳しく記した本。

服部文祥は好きな作家の一人で、これまでにも著書を読んできた。

『狩猟サバイバル』
https://matsutanka.seesaa.net/article/387138731.html
『サバイバル登山家』
https://matsutanka.seesaa.net/article/387138924.html
『百年前の山を旅する』
https://matsutanka.seesaa.net/article/387139332.html
『ツンドラ・サバイバル』
https://matsutanka.seesaa.net/article/433185162.html
『サバイバル登山入門』
https://matsutanka.seesaa.net/article/465418615.html
『サバイバル家族』
https://matsutanka.seesaa.net/article/479454510.html

衣食住それぞれの分野に関して具体例が示されている。「ニワトリを飼う」「野菜を育てる」「魚をおろす」「ミドリガメを食べる」「刃物を研ぐ」「庭で排便する」「ウッドデッキの設置」「自転車の修理とメンテナンス」といったもの。もちろん、同じようなことが誰にでもできるわけではないが、読むだけで元気になってくる。

自然環境の中を自分の力だけで移動していると、文明の力で広く薄まっていた自分の移動能力が、すっと本来の自分に戻ってくる気がする。自分という生き物の輪郭がはっきりするのである。
命とはお互い食べたり食べられたりしながら、この世に存在しているものにほかならない。食べ物は生き物であり、生き物は食べ物。同時代をいっしょに生きる「命の仲間」である。人間は、一方的に食べるばかりなので、ちょっと実感がないだけだ。
道具が使い手の意志を具現化し、使い手は道具によって自分のできることを増やしていく。そうした「正」の循環が道具と使い手の幸せである。

できるだけお金に頼らずに自力で行うのは、単に理念のためではなく、純粋に楽しいからであり、また生きている実感を味わえるからなのだ。そうした姿勢に共感を覚える。

2017年5月26日、デコ、3000円。

posted by 松村正直 at 19:39| Comment(0) | 狩猟・食肉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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