仮に現在の三十一文字が四十一文字になり、五十一文字になるにしても、兎に角歌といふものは滅びない。
と書いている。
いくら何でも51文字なんて大袈裟だろうと思うかもしれないが、なんとそれから20年後の『プロレタリア短歌集1930年版』を見ると、50音以上ある歌がいくらでも載っているのである。
自分(づぶん)で作つた米をみんな地主(づぬし)にとられて冬がくる、小作はひいひい飢えとる亀ちやのとこじや二升鍋で藁、煮てくつとるだよ/岡部文夫
どんなに俺等が懸命に働こうとよ、原綿が悪くつて運転が早やけりやいつでも糸がモツコモツコになる/吉田龍次郎
おまへらの言ひさうなこつた、臨時同情週間だなんて、人間の一生は永いんだよ、臨時じやだめさ/田邊一子
がらんとした湯槽(ゆぶね)の中にクビになつたばかりの首、お前とおれの首が浮んでゐる、笑ひごつちやないぜお前/坪野哲久
まるで啄木の予言が的中したみたいだな。