2022年10月15日

貫始郎歌集『海港』(その2)

歌集の跋文は石田比呂志が書いている。

貫始郎は、「未来」の会員として近藤芳美の門弟であり、「牙」会員としてぼくの友人であるが、年一度の大会、あるいは月々の歌会にも顔を出すことが少ない。ぼくはそれをしばしば嘆いたけれども、彼は、一日たりとも労働を休むことが出来なかったのだ。そうして、彼は、単独で、こつこつと生活の歌を紡いで来たのだった。

なるほど、言われてみれば貫始郎の歌と石田比呂志の歌には共通する点があるように思う。

二次会に石田比呂志が来いと言い銭なき吾に銭握らする

船で荷役の仕事をしているのは男性ばかりではない。

荷役終え市場に入りゆく女らの仕事着の背に塩吹きいたる
乳はると乳しぼりいる女あり荷役音こもる船艙の隅に

こうした女性たちについては、林えいだい『関門港の女沖仲仕たち』に詳しい。
https://www.shinhyoron.co.jp/978-4-7948-1086-1.html

1983年12月20日、牙短歌会、2000円。

posted by 松村正直 at 00:01| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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