ICP(国際写真センター) ロバート・キャパ・アーカイブ編。
ロバート・キャパ(1913-1954)の撮影した約7万点のネガから236点を選んで掲載した写真集。演説するトロツキーを写した最初の1枚から、地雷を踏んで死ぬ直前の最後の1枚まで、各地の戦場を撮ったキャパの生涯が浮かび上がる。
目次は「《ロバート・キャパ》の誕生1932-1939」「スペイン内戦1936-1939」「日中戦争1937-1941」「第2次世界大戦1939-1945」「戦いの後の光景1945-1952」「イスラエル独立と第1次中東戦争1948-1949」「友人たち」「日本1954」「第1次インドシナ戦争1946-1954」となっている。
キャパは中国での紛争を、ファシズムに対抗する世界共通の戦いの、東洋における前線=「東部戦線」と考えていた。
「スペイン内戦」と「日中戦争」を一つの大きな枠組みで捉える視点を、当時からキャパは持っていたわけだ。その視野の広さが魅力的である。
1944年8月、ドイツ軍の占領から解放されたフランスで撮られた写真には、次のようなものもある。「ドイツ兵との間に子をなしたフランス人女性は、罰として頭髪を剃られた」「頭髪を剃られたフランス人女性は、市民から嘲笑を浴び、徒歩で帰宅させられる」。
歓喜に湧く市民やドゴール将軍の演説だけでなく、こうした影の部分も写しているところに、キャパの目の確かさを感じる。
1913年生まれということは、高安国世と一緒なんだな。
2017年12月15日第1刷、2021年5月27日第5刷。
岩波文庫、1400円。
頭髪を剃られたフランス人女性というのは、1981年の映画『愛と哀しみのボレロ』に、解放されて歓喜に沸くパリで「ドイツ兵と寝てアメリカ兵と踊る女」という札を首から掛けられた女性が、群衆の中を引き回されるという衝撃的なシーンがありました。
40年間に亘る4家族の物語で、親子を一人の俳優が演じてこんぐらがったり、少々冗漫なところもありましたが、音楽が美しく、あまり映画を見ない私も、この作品はビデオに録って何度も見ました。
宝塚は幅広い演目をやっていますね。
映画『愛と哀しみのボレロ』はタイトルしか知りませんでしたので、見てみたいと思います。