2022年09月16日

フィリップ・ワイズベッカー『フィリップ・ワイズベッカーの郷土玩具十二支めぐり』


パリとバルセロナを拠点に活動するアーティストが、日本各地の郷土玩具の制作現場を訪ねて回ったエッセイ集。小さな判型の本にデッサンや写真、取材ノートも載っていて楽しい。

・子 伏見人形の唐辛子ねずみ(京都)
・丑 会津張り子の赤べこ(福島)
・寅 ずぼんぼのとら(東京)
・卯 金沢からくり玩具のもちつき兎(石川)
・辰 竹工芸の辰(岡山)
・巳 きびがら細工のヘビ(栃木)
・午 きじ車の馬(大分)
・未 仙台張り子の羊(宮城)
・申 木の葉猿(熊本)
・酉 木工創作玩具の酉(宮城)
・戌 赤坂土人形の戌(福岡)
・亥 一刀彫の亥(奈良)

ところどころ、外国人から見た日本についての印象が記されているのも面白い。

欧米では月面に人の顔が見えると言われてきたが、日本人には兎が餅をつく姿に見えるらしい。
線路沿いに見える水田は、住宅に接し、見渡す限りあちこちに広がっている。水が土に入れ替わった光景は、西洋人の私には驚くべきものだ。
こけしは主に東北地方でつくられる人形で、我々フランス人がジュ・ドゥ・キーユと呼ぶボウリングに似た遊びの道具に形が似ている。
奈良では、鹿が優先権を持っている。道路上で頻繁に見かける「鹿の飛び出し注意」の標識に仰天したのは私だけで、ここでは当たり前のことなのだ。

連載は「中川政七商店」のWEBでも読むことができる。
https://story.nakagawa-masashichi.jp/34832

2018年11月27日、青幻舎、2000円。

posted by 松村正直 at 07:30| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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