監督・撮影:川瀬美香
出演:イザベル・タウンゼンド、谷口稜曄、ピーター・タウンゼンド
長崎で被爆した少年を描いたノンフィクション『ナガサキの郵便配達』(1984年)の著者ピーター・タウンゼンド。その娘であるイザベル・タウンゼンドが、2018年夏に長崎を訪れ、父の本や取材テープを元に父の足跡をたどるドキュメンタリー。
https://www.amazon.co.jp/Postman-Nagasaki-Peter-Townsend/dp/0140081364
『ナガサキの郵便配達』に登場するのは、16歳で被爆して全身大火傷を負い、後に核兵器廃絶の運動を続けた谷口稜曄(すみてる)。彼とピーター・タウンゼンドの間に結ばれた友情や平和にかける思いが、イザベルの訪問によって明らかになっていく。
インタビューに答えるイザベルの英語が聞き取りやすいと感じたのだが、フランス生まれでフランスに暮らす人であった。イザベルの旅に夫と2人の娘が同行しているのが印象的だ。
『ナガサキの郵便配達』(The Postman of Nagasaki)と映画「長崎の郵便配達」(The Postman from Nagasaki)は同じ題のようで、実は「of」と「from」の違いがある。そこに、故人の遺志を受け継ぎ伝えていく決意をしたイザベルの思いが表されている。
京都みなみ会館、97分。
https://www.tponp.com/
原著(of)は、長崎に住む郵便配達(=谷口稜曄)という意味ですが、映画(from)の方は、それに加えて、長崎から世界に向けて平和のメッセージを発信するという意味が込められていると解釈しました。イザベルさんがフランスで子どもたちに演劇を通じて被爆体験を伝えていることも、メッセンジャーとしての役割を担っているのだと感じた次第です。