2022年09月14日

映画「長崎の郵便配達」

監督・撮影:川瀬美香
出演:イザベル・タウンゼンド、谷口稜曄、ピーター・タウンゼンド

長崎で被爆した少年を描いたノンフィクション『ナガサキの郵便配達』(1984年)の著者ピーター・タウンゼンド。その娘であるイザベル・タウンゼンドが、2018年夏に長崎を訪れ、父の本や取材テープを元に父の足跡をたどるドキュメンタリー。

https://www.amazon.co.jp/Postman-Nagasaki-Peter-Townsend/dp/0140081364

『ナガサキの郵便配達』に登場するのは、16歳で被爆して全身大火傷を負い、後に核兵器廃絶の運動を続けた谷口稜曄(すみてる)。彼とピーター・タウンゼンドの間に結ばれた友情や平和にかける思いが、イザベルの訪問によって明らかになっていく。

インタビューに答えるイザベルの英語が聞き取りやすいと感じたのだが、フランス生まれでフランスに暮らす人であった。イザベルの旅に夫と2人の娘が同行しているのが印象的だ。

『ナガサキの郵便配達』(The Postman of Nagasaki)と映画「長崎の郵便配達」(The Postman from Nagasaki)は同じ題のようで、実は「of」と「from」の違いがある。そこに、故人の遺志を受け継ぎ伝えていく決意をしたイザベルの思いが表されている。

京都みなみ会館、97分。

posted by 松村正直 at 07:22| Comment(3) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブログの記事を拝見して本を購入し、今日銀座で映画も見てきました。本も映画も素晴らしいと思いました。映画館の観客は4人でしたが……。谷口稜曄さんの生涯についてあれだけ詳細に記録したピーター・タウンゼント氏の功績は実に大きいと感じます。映画では海水浴でのエピソードを娘さんが朗読するシーンが特に心に残りました。本の翻訳は出ているのでしょうか。多くの人に読んでほしい本だと思います。ofとfromの話、興味深く拝読しました。もう少し詳しく松村さんの解釈を教えていただけると嬉しく思います。平和学習の授業でブログの記事を紹介したいと思っています。
Posted by 蒔苗博道 at 2022年09月25日 17:37
日本語訳は『ナガサキの郵便配達』というタイトルで、いくつか出ているようです。間庭恭人訳(1985年)、海渡千佳訳(2018年)、中里重恭訳(2022年)など。
https://www.tponp.com/

原著(of)は、長崎に住む郵便配達(=谷口稜曄)という意味ですが、映画(from)の方は、それに加えて、長崎から世界に向けて平和のメッセージを発信するという意味が込められていると解釈しました。イザベルさんがフランスで子どもたちに演劇を通じて被爆体験を伝えていることも、メッセンジャーとしての役割を担っているのだと感じた次第です。
Posted by 松村正直 at 2022年09月26日 19:11
ご教示、ありがとうございました。たいへん参考になりました。翻訳もぜひ読んでみたいと思います。
Posted by 蒔苗博道 at 2022年09月26日 21:07
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。