2022年08月21日

岡部敬史(文)山出高士(写真)『目でみる日本史』


『くらべる東西』『くらべる時代』『くらべる京都』などの「くらべる」シリーズや「目でみる」シリーズが人気のコンビの最新刊。

https://matsutanka.seesaa.net/article/441584092.html
https://matsutanka.seesaa.net/article/457471609.html
https://matsutanka.seesaa.net/article/476536337.html

歴史上の人物の見たであろう風景を、現地に行って実際に眺めてみるという内容の一冊。持統天皇の「香久山」、源頼朝の「しとどの窟(いわや)」、平田靱負の「油島千本松締切堤」、正岡子規の「子規庵」、太宰治の「三鷹跨線橋」など、34名の34か所が美しい写真入りで紹介されている。

奈良県は全国でもっともビルの低いことで知られ、県内でもっとも高い建物は、JR奈良駅近くにあるホテル日航奈良の46メートルだという。(甘樫丘展望台)
史跡巡りでは、再現された城郭だけを見るケースもあるだろうが、建物よりもその当時の姿を残した自然環境のほうが、よほど想像力をかきたてて、昔の姿を想像しやすい。(一乗谷朝倉氏遺跡)

距離感や高低差、眺望などは、地図を見ただけではなかなかわからない。現地を訪れて初めて見えてくることがたくさんあるのだ。

2022年7月20日、東京書籍、1300円。

posted by 松村正直 at 07:17| Comment(2) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
万葉集巻一の第二首に「大和には 群山あれど」で始まる舒明天皇の有名な〈国見の歌〉があります。天皇が天の香具山に登って詠んだとされる御製ですが、「国原は 煙立ち立つ」はいいとして、「海原は かまめ立ち立つ」は、香具山からは海もカモメも見えないだろ、と古来解釈には苦労しているようです。以下愚考を記します。
国見をする舒明天皇の視点がどんどん高くなっていったらどうでしょう。最初は香具山からの実景で大和盆地だけが見えていたのが、飛行機ぐらいの高さのぐらいから眺めれば大阪湾のあたりまで見え、更に高く宇宙船から見下ろせば日本列島全体を望むことができて、「うまし国ぞ あきづ島 大和の国は」という結びにもピタッとハマり、天上から地上をしろしめす天皇の歌としても相応しいような気がします。
・・・などということを、ドローンというものが出てきた時にふと思いました。
Posted by 小竹 哲 at 2022年08月22日 06:26
小竹さん、コメントありがとうございます。
「広々とした池の水面から多くの水鳥が飛び立つ」といった解釈もあるようですね。いかにも苦しい感じがします。やはり、素直に海にカモメが飛んでいる光景を想像した方が、歌柄も大きくて良いでしょう。
ドローンの話、なるほどと思いました。ドローンの発達は、私たちの空間把握や空間認識を変えていく可能性を秘めている気がします。
Posted by 松村正直 at 2022年08月22日 22:15
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