全国各地の石仏や磨崖仏を訪ね回って紹介した本。
カラー写真252点が美しい。
半田さんと言えば巨大仏のイメージなのだけど、それだけではなかったのだ。
https://matsutanka.seesaa.net/article/474996810.html
「石仏は新しくても、古くても違った良さがあります」と記している通り、歴史的な文化財から2020年に造られたばかりのものまで、実に多彩な仏たちが登場する。
「自由さ」「優しさ」に「親密さ」を加えた3つが、石仏を語る上でのキーワードになると思います。
磨崖仏はその場に行かなければ絶対に会うことのできない仏さまなのです。
自然の中にある磨崖仏は、季節、その日の天候、時間などによって見え方が大きく変わり、仏さまの表情も刻々と変化します。
屋外にある石仏はもしかしたら明日、崩れてしまうかもしれません。(…)親と石仏はいつまでもあると思ってはいけません。
石仏・磨崖仏への愛情がものすごい。磨崖仏を「その場に行かなければ絶対に会うことのできない仏さま」と捉えているのが印象的だ。この制約がむしろ魅力になるんだろう。何しろ今は興福寺の阿修羅像だって東京に行く時代なのだから。
項目に挙げられている86の仏さんのうち、見に行ったことのあるものを数えたら全部で15体だった。まだまだ会いに行きたい仏さんがたくさんいるなあ。
瑞巌寺の三十三観音(宮城)、岩屋観音(福島)、大谷観音(栃木)、薬師瑠璃光如来(千葉)、百尺観音(千葉)、磨崖不動明王像(滋賀)、富川磨崖仏(滋賀)、わらい仏(京都)、長井の弥勒磨崖仏(京都)、笠置寺の磨崖仏(京都)、頭塔石仏(奈良)、大野寺弥勒磨崖仏(奈良)、国宝臼杵石仏(大分)、熊野磨崖仏(大分)、天念寺川中不動尊(大分)
2022年3月15日、ビジュアルだいわ文庫、1000円。
そんなことで辛さを紛らわせなければならなかった時代というのは一体どんなだったのだろう、つくづくそんな時代に生まれなくて良かったとその時思いました。
今あらためて調べてみると、上音羽の摩崖仏は長い歳月をかけて少しずつ彫ったものではなく、天正二年(1574)の銘入りの「逆修仏」で、市の文化財に指定されているようです。
上音羽の「二十八体仏」、ネットで写真を見ましたが、実に不思議な印象を受ける磨崖仏ですね。真っ先に思い浮かんだのは、長崎市の「日本二十六聖人記念碑」でした。仏教とキリスト教なので別の宗教なのですが、造形には共通点があるような気がします。「逆修仏」という言葉も初めて知りました。せひ一度、現地で本物を見てみたいものです。
豊能町側には「多尊石仏」「多尊磨崖仏」がいくつかあるようです。季節が良くなったら、久し振りに歩きに行ってみようかなと思います。