監督:満若勇咲
プロデューサー:大島新
部落差別の起源や歴史、現在の状況などを描いたドキュメンタリー。長い時間をかけ、多くの関係者に取材やインタビューをして、差別が生み出される構造や根深さを浮かび上がらせている。
休憩を挟んで3時間25分もある作品だが、編集が行き届いていて長いとは感じない。元になった映像はこの何百倍もあるのだろう。
このドキュメンタリーの優れている点は、対立する人々や立場の異なる人々のそれぞれの意見をきちんと聞いていることだろう。例えば「鳥取ループ裁判」に関しても、原告の部落解放同盟の人々だけでなく、被告となった示現舎の宮部龍彦にも密着取材をしている。
また、結婚差別の問題にしても、差別を受けた側だけでなく、「結婚相手の身元調査をする。自分の子は部落の人とは結婚させない」と語る人からも話を聞いている。
何が正しくて何が間違っているかを性急に問うのではなく、監督自身も含め私たち一人一人がこの問題について深く知り、より良く考えるための手掛かりをたくさん示してくれる作品であった。
京都みなみ会館、205分。
2022年07月05日
この記事へのコメント
コメントを書く