2009年にアノニマ・スタジオから刊行された単行本の文庫化。
立春から大寒に至る二十四節気それぞれの特徴と動植物の様子を、カラー写真入りで紹介している。
身も凍るような寒さの中、二十四節気では春を迎えます。(…)中国から伝わった陰陽五行説には、寒さが極まり底をつけば、それから後は暖かくなっていくという考え方があります。そこから、一番寒いときに春が生まれるとされたのです。
これまで漠然と旧暦と新暦のずれによって立春が寒い時期に来るのだと思っていたのだが、そうではなかった。昔も今も立春は寒い時期に来るのである。「暦の上では春ですが」と思うのは暦の問題ではなく、昔と今の季節感(季節をどのように区分けするか)の変化の問題なのであった。
四十雀(しじゅうから) 体重は十五グラム程ですが、1年に食べる虫は10万匹を超えるといわれています。
日本では、螢といえば清流を思いうかべる人が多いかもしれませんが、その多くは森や草はらでくらしています。
鳳蝶(あげはちょう) 幼虫が、天敵の攻撃や厳しい気象条件、食べものの奪い合いなど、さまざまな困難を乗り越えて無事に蝶の姿となれる確率は、わずか一、二%です。
(常緑樹は)何年も同じ葉をつけているわけではなく、落ち葉そのものの量は、落葉樹とくらべてほとんど変わりません。古い葉が落ちる前にちゃんと次の葉が生えているので、一年中青い葉をつけているのです。
こうして読んでみると、身近な自然についても知らないことがたくさんあることに気が付く。
2016年12月25日、角川文庫、960円。