2022年05月04日

木村聡『さしすせその仕事』

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副題は「本物の調味料を作る本物の人」。

「週刊金曜日」2007年5月18日号から2008年9月26日号の連載を一冊にまとめたもの。

味噌、塩、みりん、酢、ソース、砂糖、ケチャップ、醤油など、各種の調味料を作る現場を訪れて取材したドキュメンタリー。

「調味料は主役ではなく、あくまで脇役です」
調味料の役どころを示す控えめで、謙虚な物言いだが、しかし裏側に「主役が映えるのは調味料があってこそだゾ」という職人の自負を感じてならない。
もともとみりんは甘い酒として広まっていた。家庭で調味料として使われ出すのは戦後になってからと新しい。
加工用トマトは赤系に分類され、ピンク系の生食用のトマトより色が鮮やか。ケチャップの濃い赤色とは、まさにこの加工用トマトの完熟色にほかならない。
醤油製造会社は大正時代には全国で約一万二〇〇〇社、戦後でも六〇〇〇社以上あったという。味噌ほど多彩ではないが、地方ごとに個性豊かな醤油蔵と味が存在した。しかし、その数は年々減り続け、現在は一六〇〇社ほど。

手間と時間をかけて作られる調味料の持つ豊かな味わい。こうした背景を知ると、値段が高くても良い調味料を使ってみようという気持ちになる。

2009年5月1日、株式会社金曜日、1800円。

posted by 松村正直 at 21:21| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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