被害を受けた関係者は「侵攻に心を痛めているのは、みんな一緒だ」と訴える。
と記者は書く。
中傷が悪いのは言うまでもない。中傷はダメと記事で呼び掛ける意義もよくわかる。けれども、それは「侵攻に心を痛めている」人に対してだけの話ではない。誰に対しても同じく良くないことだ。
この記事の書き方には、「侵攻に心を痛めている」ロシア人は許してあげようといったニュアンスを感じる。そうした姿勢は、取材を受ける人に同調を強いることにもつながっていく。仮にもし、侵攻に心を痛めていない人や侵攻を肯定する人がいたとしても、中傷が許されて良いわけではない。
自分たちと同じ考えかどうかを基準に論じる姿勢には常に危うさが付きまとう。それは、同じ考えでない人への中傷をむしろ助長することにもつながりかねない。