監督:四元良隆、牧祐樹
出演:松元ヒロ
社会風刺・政治風刺の笑いを持ち味とする芸人松元ヒロのドキュメンタリー。2019年に出身地の鹿児島テレビで製作されたローカル番組をもとに、追加取材の上で映画化された作品である。
コミックバンド「笑パーティー」やコントグループ「ザ・ニュースペーパー」を経て1998年に独立した松元は、現在はテレビでなく舞台を活躍の場としている。その姿をテレビ局が追ったというのが、まず面白い。
稽古風景、食事風景、家での姿、舞台での姿、妻や息子とのやり取り、かつての仲間との再会、恩師との再会。どんな場面においても、松元の芯の通った姿勢と柔らかな笑顔は変わらない。
良質なドキュメンタリーであるのは間違いないのだが、一方で「芸人松元ヒロ」ではない表情や素顔にもっと迫って欲しかったとも思う。そこがテレビ局のディレクターである監督の限界を示しているようにも感じた。
京都シネマ、81分。
同じテレビ局制作の映画でも、名古屋の東海テレビの『さよならテレビ』(2019)や、富山のチューリップテレビの『はりぼて』(2020)は、テレビ局自身の痛みにまで迫り(特に前者)、いろいろな柵がある中、民放がここまで出来るのかと驚嘆しました。