2022年02月22日

映画「テレビで会えない芸人」

監督:四元良隆、牧祐樹
出演:松元ヒロ

社会風刺・政治風刺の笑いを持ち味とする芸人松元ヒロのドキュメンタリー。2019年に出身地の鹿児島テレビで製作されたローカル番組をもとに、追加取材の上で映画化された作品である。

コミックバンド「笑パーティー」やコントグループ「ザ・ニュースペーパー」を経て1998年に独立した松元は、現在はテレビでなく舞台を活躍の場としている。その姿をテレビ局が追ったというのが、まず面白い。

稽古風景、食事風景、家での姿、舞台での姿、妻や息子とのやり取り、かつての仲間との再会、恩師との再会。どんな場面においても、松元の芯の通った姿勢と柔らかな笑顔は変わらない。

良質なドキュメンタリーであるのは間違いないのだが、一方で「芸人松元ヒロ」ではない表情や素顔にもっと迫って欲しかったとも思う。そこがテレビ局のディレクターである監督の限界を示しているようにも感じた。

京都シネマ、81分。

posted by 松村正直 at 16:17| Comment(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私はあまり映画は見ないのですが、この作品は大阪十三の第七藝術劇場で見て、松村さんと全く同じ感想を抱きました。作品自体は大変面白かったのですが、松元ヒロさんのキャラクターや芸の力に寄り掛かり過ぎていて、例えばヒロさんが護憲の立場に至った経緯とか、もっと知りたかったと思いました。
同じテレビ局制作の映画でも、名古屋の東海テレビの『さよならテレビ』(2019)や、富山のチューリップテレビの『はりぼて』(2020)は、テレビ局自身の痛みにまで迫り(特に前者)、いろいろな柵がある中、民放がここまで出来るのかと驚嘆しました。
Posted by 小竹 哲 at 2022年02月24日 09:13
『さよならテレビ』『はりぼて』は残念ながら未見です。ネット動画が広がりを見せる中で、テレビというメディアが今後どうなっていくのか、どういう可能性が残されているのかといったことも考えさせられます。

Posted by 松村正直 at 2022年02月25日 07:52
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