副題は「日本からローカル線が消える日」。
先日、映画「日高線と生きる」を見た流れで購入した本。国鉄時代まで歴史を遡り、現在のJR北海道の置かれている状況の厳しさを分析している。
主な原因は、バブル崩壊後の超低金利政策によって分割民営化時に設けられた「経営安定化基金」の運用益が減少したこと、高速道路網が整備されて鉄道の利用者が減ったこと、高齢化・過疎化が進み札幌への人口集中が進んだことの3点だ。
札幌市の北海道全体の人口に占める比率は一九七〇年の一九・五%から二〇一〇年の三四・八%まで一貫して上昇している。
どれも構造的な問題であって簡単な解決策は見つからない。しかも、JR北海道の話だけではなく、全国に共通する問題でもある。先日もJR西日本が路線維持の難しいローカル線の収支を公表するというニュースが流れていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fa884a91531d6a88e0cc0e60e3e10e7904b0e8fb
もっとも、JR北海道がずっと低迷状態だったわけではない。1987年の発足から2000年代にかけて、良い時期もあったのだ。
JR発足後の一五年間は、JR北海道も長距離列車の高速化や札幌圏の輸送力増強など、積極的に設備投資が行われた。
私が北海道に住んでいたのは1996年から97年にかけてのこと。まだ、北海道の鉄道に元気のあった時代だったわけである。
2017年10月16日、イースト新書、907円。