2022年01月21日

啄木と絵画

啄木は東京でよく美術展を見に行っている。
明治41年6月7日の日記。

二時から、金田一君と二人、大学構内の池を見て、上野の太平洋画会を見た。吉田博氏の作に好いものがある。月夜のスフインクス、それから、荒廃した堂の中に月光が盗入つて一人の女が香を炷いて祈禱をしてる図など。

ここに出てくる吉田博は、後に新版画で活躍する人物。この時点では版画ではなく洋画を描いていた。

啄木の挙げた2点の絵はどんな作品かと思って調べてみたが、わからない。大正14年の版画作品「スフィンクス」は見つかるけれど、もちろんこれのことではない。
http://inventory.yokohama.art.museum/11359

既に失われてしまった絵画なのだろうか。

【追記】
6月15日の日記に、さらに言及があった。

金を欲しい日であつた。此間太平洋画会で見た吉田氏の(魔法)、(スフインクスの夜)、(赤帆)などを買ひたい。

posted by 松村正直 at 07:06| Comment(0) | 石川啄木 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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