2022年01月08日

2冊の本

ジャンルの違う2冊の本に同じようなことが書いてある。
そんな偶然が好きだ。

幹に摑まる力の尽きるときが死と知るはずもなく蟬らは鳴けり
手も足も律儀に揃へ仰向きて蟬が死ぬなり晩夏の庭に
           永田和宏『置行堀』
木につかまる力を失ったセミは地面に落ちる。飛ぶ力を失ったセミにできることは、ただ地面にひっくり返っていることだけだ。わずかに残っていた力もやがて失われ、つついても動かなくなる。
           稲垣栄洋『生き物の死にざま』

トランプの神経衰弱をしていて2枚のカードが揃う時の喜び、と言えば伝わるだろうか。

posted by 松村正直 at 21:50| Comment(1) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
単に字面が同じ、というだけの話。
蝉の死に方が自然化学的にどうのということと、並列しても、歌を深く読むこととは全く関係ない。
永田さんは癌で妻を亡くして、その個人的な死を蝉に重ねて見つめている。
だから小さい命でも足を揃えている所などが
哀れでいたましく見える。

自分と切り離した死を考えるのが自然化学。
自分と関係した、一人称の死を歌うのが上の歌集。
以上の感想を持ちました。
伝わらないと思いますが。






Posted by at 2022年01月09日 19:14
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