2021年12月23日

渡辺泰明編『和歌のルール』

著者 :
笠間書院
発売日 : 2014-11-04

「枕詞」「序詞」「見立て」「掛詞」「縁語」「本歌取り」「物名」「折句・沓冠」「長歌」「題詠」の10のテーマについて、それぞれ和歌の専門家が解説した本。

どの章も有名な例歌を挙げてわかりやすく説明していて、和歌の入門書としてもってこいの一冊になっている。

和歌に使われる言葉は、限られています。(…)それまでの和歌の中で使用されてきた、洗練された語句しか使っていけないからです。選ばれた言葉によって三十一文字でまとめられていて、その中だけで考えればよいというのですから、複雑なものになるはずがありませんね。和歌というのは、とてもシンプルなものなのです。
序詞の持つ具象的なイメージを頭の中に残しつつ〈思いの文脈〉を読むと、何となく作者の心がわかったような気がするのです。(…)序詞は、表現しにくい伝わりにくい人の心に形を与え、心が表現できたかも知れない、心がわかったかも知れない、という感覚を抱かせてくれる表現技法なのです。
一般に歌は初句から順に読みはじめ、結句に至って全面的に趣旨が明らかになるものです。だから、初句を見た時にはまだ全貌が見えません。しかし、先をある程度予想して読みを修正しながら読み進めていきます。そうして最後までたどり着いた時、はじめて全体像が見えるわけです。

これまで、和歌は何となく敬して遠ざけてきたのだけれど、意外に現代の短歌とも共通する面がいろいろとあるのだと感じた。今後少しずつ読んでいこうと思う。

2014年11月1日第1刷、2020年1月10日第7刷。
笠間書院、1200円。

posted by 松村正直 at 17:49| Comment(4) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
古典和歌の修辞と言えば、「掛詞」が最もポピュラーだと思いますが、私は「序詞」が好きです。百人一首の「住の江の岸に寄る波」とか「みかの原わきて流るるいづみ川」とか、何て美しいんだろうと思います。
大手予備校で古文の名物講師をやっている大学時代の同級生は、毎年年賀状に「つちのとゐ」「かのとうし」などの干支を「物名」として詠み込んだ自作の和歌を書い送ってきてくれるのですが、来年の「みづのえとら」はどうするのかな。(難しそう・・・)
Posted by 小竹 哲 at 2021年12月27日 08:04
小竹さん、コメントありがとうございます。
序詞は現代短歌でも時々使われていて、大きな可能性を秘めた修辞だと感じています。

葦群のなかゆくみちの湿り地の沈みがちなる今朝のものおもひ
軒下に凍るつららのつらつらに君を偲ぶも今日葬りの日
/柏崎驍二『北窓集』

Posted by 松村正直 at 2021年12月27日 22:28
「つららのつらつら」いいですね。
現代短歌ではありませんが、教科書にも出てくる長塚節の

馬追虫の髭のそよろに来る秋はまなこを閉ぢて想ひみるべし

を思い出しました。
Posted by 小竹 哲 at 2021年12月28日 05:21
序詞の話も含めて、古典和歌から私たちが現代の歌作りに活かせることはけっこうあるような気がします。

Posted by 松村正直 at 2021年12月29日 12:00
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