2021年12月22日

清水浩史『幻島図鑑』


副題は「不思議な島の物語」。

島旅のプロと言っていい著者が、「はかなげで(人口が少ない、もしくは無人島、無人化島)、稀少性(珍しい名称・フォルム、稀有な美しさ、知られざる歴史)のある小さな島」を幻島(げんとう)と名付け、全国17の島を旅した記録。

登場するのは、エサンベ鼻北小島(北海道)、大島(岩手)、鵜渡根島(東京)、見附島(石川)、ホボロ島(広島)、鴨島(島根)、羽島(山口)、ねずみ島(愛媛)、初島・三池島(福岡)、沖ノ島(佐賀)、六島(長崎)、宇々島(同)、蕨小島(同)、黒島(同)、具志川島(沖縄)、降神島(同)。

何よりも特筆すべきなのは、地図に記載されている「エサンベ鼻北小島」が、著者の取材によって既に消失している事実が明らかになったこと。これは数年前にニュースでも報道されていたが、まさに幻の島だったわけだ。これだけ科学技術の発達した世の中で、そんなことが現実に起きるのである。

ひとたび有人島が無人島になってしまうと、全国の例を見る限り、ふたたび有人島に戻れる可能性はまずない。上陸は困難となり、閉ざされた存在となってしまう。
快適性や利便性にまっしぐらに進んでいく今の社会って、いったい何なんだろう。もしかすると、思い出深い人生の真逆、「薄味の人生」に向けてまっしぐらに進んでいることになりはしないのか。

数え方にもよるが、日本には6852の島があり、そのうち416島に人が住んでいるらしい。それを多いと見るか少ないと見るか。今後の移り変わりも含めて、だんだんと興味が湧いてきた。

2019年7月30日、河出書房新社、1600円。

posted by 松村正直 at 07:31| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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