「少女たち開口の神の樟の木の若枝さすごとのびて行けかし」
ここは晶子がよく遊んだ場所で、『私の生い立ち』の中に
後を向いて街の方を見ますと、ずっと北の方に浅香山の丘が見え、妙国寺の塔が見え、中央に開口神社の塔が見えます。私等が実を拾って遊ぶ廻り二三丈もある開口神社の大木の樟が塔よりも高く見えます。
と記されている。ちなみに、この開口神社の三重塔は1945年7月10日の空襲で焼失して、今は残っていない。
いよいよ、「さかい利晶の杜」の企画展「与謝野寛・晶子夫妻の旅―パノラマ地図でたどる観光名所―」を見る。
昭和6年の北海道・九州・四国の旅で詠まれた歌や写真と、吉田初三郎の描いたパノラマ地図が取り合わされて展示されている。当時の旅の雰囲気がよく伝わってくる好企画であった。吉田初三郎ファンとしては嬉しい限り。
太田登氏の記念講演「与謝野夫妻の北海道紀行と石川啄木」も興味深い内容だった。
啄木が右の肩をば猶揚げて岬に立つと見ゆるその墓 寛
なつかしき函館に来て手に撫づる亡き啄木の草稿の塵 晶子
帰りは南海電車の堺駅から。
駅の西口に立つ与謝野晶子像。
9年前に訪れた時の写真を見ると以前は手に筆と短冊を持っていた。
https://matsutanka.seesaa.net/article/387138922.html
破損してそのままになっているのだろうか。
与謝野晶子と吉田初三郎をコラボさせるという初めての試みでしたが、喜んでいただきうれしく感じています。
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
企画展も講演も充実した内容で、素晴らしい一日になりました。与謝野晶子と吉田初三郎のコラボという発想に驚きました。二人が一緒に写っている写真まであったとは! こんなふうに切り口次第で、今後も様々な新しい晶子の姿が見えてくるのでしょうね。