2021年11月26日
北村薫『中野さんのお父さんは謎を解くか』
2019年に文藝春秋社より刊行された単行本の文庫化。
「中野のお父さん」シリーズ第2弾。8つの短篇が収められている。いわゆる安楽椅子探偵モノ&日常の謎モノで、主人公の田川美希から聞いた話をもとに父が謎を解いていく。
本や文芸に関する謎が多く、先日『文豪たちの友情』で読んだ徳田秋声と泉鏡花の喧嘩のエピソードの謎も出てきた。「火鉢は飛び越えられたのか」というタイトル。8篇の中ではこれが一番面白かったな。
巻末の初出一覧を見ると、初出の「オール讀物」掲載順と本の中での順序がかなり入れ替わっている。「2016年5月号」「2018年6月号」「2016年8月号」「2017年1月号」「2018年1月号」「2017年4月号」「2017年5月号」「2018年12月号」という並び方。
初出の順序で言えば、@FABECDGとなる。どうして、こういう並び方にしたのか気になる。何かの辻褄を合わせたのだろうか。これも作者から出された「日常の謎」なのかもしれない。
2021年11月10日、文春文庫、680円。
この記事へのコメント
コメントを書く