文:小玉光子、八田尚子
版画:宮代一義
「味噌」「豆腐」「梅干」「コンニャク」「そば、うどん」「つくだ煮」などを手作りする方法を紹介した本。1987年初版の23篇に、新たに3篇が追加されている。どの回も版画による図解が付いていて、温かみが感じられる。
かつては土地の風土や気候に合わせて手作りされていた食べ物が、今では大規模な工場で生産される画一的な商品になってしまった。そうした流れを見直し、まずは自分の食べる物から少しずつ変えていきたいとの思いが強く伝わってくる。
本書を読み終えて、早速「カマボコ、チクワ」の手作りに挑戦してみた。時間は掛かるけれど、別に難しくはない。出来上がりは市販の物とは全然違うものの、それなりに美味しい。
家庭では、こんどはこうすれば失敗しないかも――などと、工夫を重ねながら、うまい味噌づくり、醤油づくりに挑戦するのも楽しみのひとつ。
そうなのだ、失敗も含めて手作りには楽しみがある。そこが何よりの出発点だ。手間や面倒と思うのではなく、自分の食べる物を自分で作る素朴な喜びを、まずは取り戻すことが大切なのだろう。
2021年11月1日、自然食通信社、1800円。