2021年10月31日

雑詠(010)

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バス席の母に抱かれて眠る子に抱かれて母のからだも眠る
生きている人の姿のない墓地に来て読む本の秋はさわやか
ちょっと話があるんだけどと呼ぶ時も呼ばれる時もちょっとではなく
靴ひもが長くて今日は結べないどう結んでも地面に垂れて
みずからの心あやうき秋の日を川さかのぼり吊り橋わたる
ダージリンに角砂糖ふたつ崩れゆく沈没船のように声なく
こころ治すためにこころに触れることこわいなあ赤くコスモス揺れて

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posted by 松村正直 at 09:22| Comment(0) | 雑詠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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