2021年10月19日

後藤治・二村悟『食と建築土木』


副題は「たべものをつくる建築土木(しかけ)」。
写真:小野吉彦。

全国各地の農山漁村で見かけた石垣、小屋、仮設の棚など、建物以外の構築物を取材してまとめた本。あまり見たことのない珍しいテーマだと思う。

取り上げられているのは、「ゆで干し大根の大根櫓(長崎県西海市)」「階段状ワサビ田(静岡市)」「串柿の柿屋(和歌山県かつらぎ町)」「凍み豆腐干し(福島市)」「壁結(福岡県うきは市)」「海苔ヒビ(三重県南伊勢市)」など。

農家を評価するときに、これまでの研究はほとんど母屋の研究なんです。でも実は、産業を形成しているのは母屋よりも圧倒的に付属屋のほうです。

なるほど、言われてみれば確かにその通りだ。新幹線の車窓を見ていても、農業や漁業の生産に関わる構築物は町並みや景観の大事な要素になっていることが多い。

約200点も載っているカラー写真がどれも美しく、現地を訪ねてみたくなる。

2013年11月30日1刷、2018年12月10日2刷発行。
LIXIL出版、2300円。

posted by 松村正直 at 07:56| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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