聞き手:水野恵美子、撮影:落合由利子。
80歳を超えた建築家・評論家の津端秀一と妻英子の生活の様子を、一年間にわたる聞き書きと美しい写真によって描き出した本。
雑木林とキッチンガーデンのある木造平屋の家。そこでの暮らしの四季折々の姿が浮かびあがってくる。
二人とも、健康診断はもう何十年と受けたことがないんですよ。もし、不具合が見つかったら怖いですからね。意識しちゃうでしょ、それも健康な人ほど、精神が不安定になってしまうから。たっだら検査を受けないほうがいいと思ってね。(修一)
収穫する量が多くありませんから、そんなたくさんはつくれないけど、「もう少し食べたい」と思うくらいがちょうどいいのね、ジャムに限らず何でも。また、来年を待つ楽しみができますからね。(英子)
このベーコンづくりも、もうすぐ一五〇回に到達する予定です。やっぱり、どんなことでも一〇〇回以上回数を超えると、自分らしいホンモノになってくるもんですねえ。何度も繰り返すことで、自分なりのやり方やコツがつかめてくる。(修一)
「自分が食べる物は、自分の手でつくりたい」という思いは、小さい頃からもっていましたけど、実現できるまでは長い時間がかかりましたものね。でも、思い続けて、それに向かって少しずつ実現していくことは大事なんですね。(英子)
野菜や果実を庭で育て、自家製のゆべし、ベーコン、ハブ茶、梅酒、梅干し、ジャム、佃煮、粕漬けなどを作る。植木の剪定や屋根の塗装なども自分たちでやる。そんな自由で自立した暮らしの美しさが存分に感じられる内容であった。
2012年9月20日初版1刷発行、2018年10月15日21刷発行。
自然食通信社、1800円。