京都から特急サンダーバード、北陸新幹線、路線バスを乗り継いで約4時間半。小旅行といった趣きだ。
美術館(写真右奥)は、自然豊かな庄川水記念公園の一角にある。
とにかく素晴らしかった。
天井から垂れる布に大きく書かれた短歌のインスタレーションや、インタビュー映像、作品の解説などのほか、子どもの頃のアルバムや手帳、歌集のゲラ、創作ノート、手紙など、現物の展示が多いのに驚かされた。古いものが実にたくさん残っている。
内容が充実しているだけでなく、展示方法にも様々な工夫がされていた。中でも印象的だった「言葉」を3つ挙げたい。
歌がなくても生きて行ける人は、歌をやめてほしい。
あなたのことだ。
展示室の入口に掲げられた「あなたとは違う」というメッセージにある言葉。いきなりドキッとさせられる。
あなたのことを思うとこのところ寝苦しい思いです。
お母さんの手紙の一節。一人暮らしをしていた頃の高島に、母はしばしば手紙を出したようだ。10点ほどが展示されていたが、どれも愛情と人柄の滲む文面だった。
もし気が変はつたらいつでも「未来」へ帰つて来て下さい。
2002年に「未来」を退会した高島に宛てた岡井隆の手紙の一節。自分が若い人たちの力になれなかったと悔やむ言葉もあって、胸を打たれる。
こうした言葉を読んでくると、高島が東京から故郷の富山へ帰り、結婚して子供を育て、「未来」に再入会したことの、すべてが必然だったように思われる。
美術館周辺の山、川、空、田んぼなどの風景も含め、高島の核にあるものの一端に触れたような体験だった。