「WIRED.jp」に2016年から2017年にかけて連載された原稿を元にまとめた一冊。
民俗学的な視点・手法によって、「自撮り棒」「宇宙葬」「聖地巡礼」「無音盆踊り」「ポケモンGO」「UFO学」「ホメオパシー」など、現代の様々な事象について考察を加えている。
物事や現象を分析し、その背後にひそむ人々の感情や思いを解き明かす。そこには、推理小説を読むような発見や驚きがある。
わたしにとっての民俗学とは、まず「感情」を手がかりに、さまざまな社会現象に取り組む姿勢のことである。(・・・)歴史には記録されていない感情を扱うことで、史料にもとづいた過去に囚われることなく、市井の人間のことを想像し、見つめ直すことができる。(・・・)民俗学の方法を用いることで、時代に左右されない本質を探すことができる。
民俗学と聞くと、過去を扱うもの、古くさいものといった印象があるが、実はそうではない。私たちが生活の中で目にするものについて自在に扱うことのできる、きわめてアクティブな学問なのだ。
2017年7月28日、KADOKAWA、1800円。