京都の伏見にはかつて陸軍の第十六師団が置かれ、軍都として賑わった歴史がある。今でも師団司令部庁舎(現・聖母女学院本館)の建物や「師団街道」「第一軍道」「軍人湯」といった名前があちこちに残っている。
わが家の近くにも軍用地を示す標石が残っていることを最近ネットの情報で知り、探しに行ってみた。
家から徒歩2分。
墨染街道に面した個人宅の石垣に埋もれるようにして、大亀谷陸軍練兵場の境界標石が残っている(写真中央の白っぽいところ)。日常的によく通る場所なのだが、これまで全く気が付いていなかった。
文字はだいぶ薄れているが「陸軍省」と読める。その下は石垣に埋まっていて、おそらく「陸軍省所轄地」と刻まれていたものだろう。
家から徒歩10分。
古御香宮の参道わきの藪の中に、伏見陸軍射撃場の境界標石がある。こちらは「陸軍省所轄」まで、はっきりと読むことができる。
敗戦から76年。軍用地の跡には龍谷大学や京都教育大学ができ、伏見は今では大学の町になっている。それでも、こうした身近なモノから昔の歴史を知ることができるのであった。
古墳を見に行こうとして「陸軍用地」の標石を見つけるとは面白いですね。歴史のさまざまな時間が交差しているのだなと思いました。