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イベントに関連して、原爆を詠んだ短歌3首を引きます。何十年経っても色褪せることのない臨場感があり、戦争の過酷さをまざまざと感じます。
火傷には油が良しといふとにもかくにもバター塗りやる顔に
身体(からだ)に 白木裕『炎』
広島で被爆して妻と二人の娘を亡くした作者。全身に火傷を負いながら何とか自宅まで帰り着いた妻に、必死の思いでバターを塗り続ける。おそらくはもう助からないだろうことを、妻自身も、作者もわかっている。
爆風の一瞬この世に陽の消えてするめの如く背のちぢまる
井上清幹
昭和29年刊行の合同歌集『広島』は、220名の1753首を収めた原爆歌集。作者は自宅の窓辺にいて激しい爆風を浴びた。引き攣るような背中の痛みが、「するめの如く」という比喩によって生々しく伝わってくる。
亡骸の子はその母に遇ひしかば白きパンツを穿かせられにき
竹山広『残響』
原爆投下後の長崎の町を捜し回って、ようやく亡くなった子を見つけ出した母。衣服も焼けて黒く変わり果てた姿に、せめてパンツだけでも穿かせてあげたいと思ったのだろう。亡骸となっても大切な子に変わりない。
昨夜はお疲れさまでした。塚本邦雄は、と言うか前衛短歌全般が、私はこれまでどうもよく分からなかったのですが、昨夜ご紹介いただいた作品はすっと入りました。「溺れたる兵士」の歌は青白い魂のようなものをイメージし、「海底に」の歌は深い青緑色を思いました。
ついでながら「火夫」という言葉を、私は江戸川乱歩の『黒蜥蜴』に出てきた「火夫の松公」で覚えました。
「防水区画」に関して、昨日はどこで見たのか、具体的にどんな内容だったか思い出せなかったのですが、『朝日歌壇』の平成3年7月第4週にこんな歌がありました。
娘子軍というは慰安婦船倉のハッチ閉じねばならなかった懺悔 (島根県)祖田功
近藤芳美選の一席です。ちょうど30年前ですが、当時はまだ直接戦争を知っている方の歌が多く入選していたと思います。
それでは来年も楽しみにしています。
昨日はご参加くださり、ありがとうございました。皆さんのご意見やご指摘のおかげで、かなり話が深まったように感じました。
「平成3年」と言うと最近のような気がしますが、もう30年も前なのですね。様々な戦争体験をどのように伝えていくか、考えさせられます。