2021年07月27日

映画『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』

監督・原作:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
出演:渥美清、倍賞千恵子、田中裕子、沢田研二、下條正巳、三崎千恵子ほか

1982年公開のシリーズ第30作。
大分県の臼杵、湯平温泉、杵築、鉄輪温泉などが舞台になっている。

「男はつらいよ」は単なる喜劇や恋物語としてだけでなく(それだけでも十分だけれど)、時代の記録としての側面も持っている。大分空港へ向かうホバークラフト(1971年開設、現在は廃止)やヤマト運輸の宅急便(1976年開始)が印象的な形で登場する。

映画「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」(松竹、一九八二)には閉園間際の谷津遊園が登場する。沢田研二演じる三郎はチンパンジーの飼育員という設定だった。
             木下直之『動物園巡礼』

千葉県の谷津遊園は、この映画が公開される一週間前に閉園した。もちろん偶然ではなく、閉園する遊園地の姿をフィルムに残そうとロケ地に選ばれたのだ。

これを、例えば谷津遊園のドキュメンタリーの形で残すこともできるだろう。でも山田監督のすごいのは、それを普通のドラマの中にさり気なく残しているところだ。観覧車の中で三郎が「好きや」と告げるシーンでも、観覧車の錆がひどく目立つ。

「男はつらいよ」シリーズは、歳月が経過すればするほど時代の記録としての価値がますます高まっていく作品だと思う。

アップリンク京都、106分。

posted by 松村正直 at 18:47| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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