2021年07月19日

山下太吉歌集『焚火にあたる』

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「塔」所属の作者の第2歌集。「かごしま短歌文庫」22。

死ぬまでに弟の骨を硫黄島に拾はむと幾度言ひし叔父逝く
病廊を歩み来る人の杖の音止みぬ中庭のさくらを見るか
峡の村真下に覗けば家ごとにさくらの花の庭に咲きをり
急ブレーキの前の軽トラに急ブレーキ踏みたりイタチは草叢へ逃ぐ

歌集の初めの方に「佐太郎訪ひし燃島(桜島の北にある小島)行 2013年」という一連がある。

珍しき来訪者四人に鵜があまた突堤に並び此方見てゐる
廃屋より出で来し猫に次は人現れるかとしばし見入りぬ
飛び散りて砕けし窓のガラス片踏みつつ教室の中を覗きぬ

「四人」の一人としてこの旅にご一緒したので懐かしい。
・・・あれからもう8年になるのか。

2021年7月15日、ジャプラン、1300円。

posted by 松村正直 at 20:14| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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