副題は「まだ見ぬ肉料理を求めて全国縦断!」。
全国各地の名物肉料理を食べ歩く旅行記。カラー写真が豊富に載っていて、食欲をそそられる。
登場するのは、トンテキ(四日市)、イルカ・クジラ(太地)、竜田揚げ(法隆寺)、肉じゃが(舞鶴・呉)、焼き鳥・せんざんぎ(今治)、唐揚げ(中津)、すっぽん(安心院)、チキン南蛮(延岡)、鶏飯(奄美大島)、ステーキ・山羊汁(沖縄)、ローメン(伊那)、ソースかつ丼(駒ヶ根)、おたぐり・焼肉(飯田)、パイカ(三沢)、馬肉・とりもつラーメン(新庄)、やきとり(室蘭・美唄)、がんがん鍋(赤平)、なんこ(歌志内)、ポークチャップ(砂川)、ジンギスカン(滝川)、サフォークラム(池田)、ザンギ(釧路)などなど。
肉料理を食べるだけではなく、各地を旅して著者は日本の現状を目の当たりにする。
人気の店めがけて脇目もふらず行列に並び、ほかの店を探すことはしない。ツマらなくなったね日本人。
東京に一極集中し、寂れていく地方。沖縄も、人もモノも那覇に集中し、宜野湾など近郊都市ですら寂れていく。
昨今はハコ物にゆるキャラ、歯抜けのテナントビル―。地方は本当に大変だが「アソコガ成功したからマネしてウチも」では絶対うまくいかない。
ネットの情報だけに頼って旅をする観光客、全国的にも地域的にも(世界的にも?)進む一極集中、そして地方の町おこしの難しさ。長年にわたって旅を続けている著者だからこそ気づく点も多い。
最近はテレビも雑誌もネットもグルメ「情報」だらけでウンザリしているので、あえて見せ情報はほとんど載せなかった。
確かにこの本はグルメ情報誌ではない。肉を食べ、店の人と語り、現地に行って自分の目で見つけたものを追求する。そんな著者の旅のあり方を見せてくれる一冊である。
2016年8月8日、イカロス出版、1600円。