2021年06月22日

マーサ・ナカムラ詩集『雨をよぶ灯台』


第28回萩原朔太郎賞受賞。
15篇の作品を収めている。

何年間も庭に打ち捨ててあった三輪車を、がらがらと道路に引きずり出し、どこということもなく、ペダルをこぎ始めた。夜が明けるまでに、行き着く場所を考えていた。
          (「サンタ駆動」)
スナック『真紀』の飾り窓が、
荒く息をするように光っては消える。
光だと思ったものは、真っ白な男の顔だった。
          (「篠の目原を行く」)
目が覚めて、暗い布団の中で、
私は今、
自分が26歳なのか
62歳なのか分からなくなった
          (「夜の思い出」)

夢の中の話のような不思議な世界が次々と展開していく。
これからも現代詩をいろいろと読んでいきたい。

2020年6月30日 新装版、思潮社、2000円。

posted by 松村正直 at 21:38| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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