2021年06月14日

お台場の歌

あるテーマに関する歌を探して、このところ筑摩の『現代短歌全集』を読んで(眺めて)いる。そうすると、探しているテーマとは別の歌があれこれ目に入ってくる。

例えば、こんな歌。

風ふけば海路をわたす夕潮の揺れわたるなかに台場島見ゆ
お台場の石垣に寄る浪の穂のくづれてはしろし夕霧の間に
潮騒のこゝの入江にうかぶ島台場に夏の草生ひにけり
              /橋田東声『地懐』

大正6年の「品川の台場」10首より。
現在のお台場エリアも104年前はこんな感じだったのだ。

さらに、こんな歌も見つかる。

梅雨はれし海の上のかぜは砲台のあたりのこはき芝にふきつく
空溝(からみぞ)に草はびこりし台場の原ぐみの木群(こむら)と合歓と松とよき
品川に近き台場の幾つあり木群やうやく夕昃(ゆふかげ)りたり
              /鹿児島寿蔵『潮汐』

昭和9年の「品川沖」8首より。

昭和3年に第三台場が現在も続く台場公園として整備され、公開されている。作者は船に乗って公園に上陸したようだ。

ちなみに、現在の状況はと言えば

第1台場 1963年に埋立地の一部に
第2台場 1961年に撤去
第3台場 現存(台場公園)
第4台場 1939年に埋立地の一部に
第5台場 1962年に埋立地の一部に
第6台場 現存
第7台場 1965年に撤去

となっていて、7つあった台場のうち2つが残っている。

posted by 松村正直 at 23:36| Comment(0) | 戦争遺跡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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