ブックレットボーダーズ3。
副題は「サハリンへのゲートウェイ」。
稚内とサハリンの歴史的な結び付きや、日ロの交流と国境観光の地としての魅力を記した一冊。
稚内は「日本のさいはて」というイメージが強いが、サハリンへの玄関口という見方もできる。
北海道内の「隣りの市」と言っても、オホーツク海側の紋別市が約二一〇キロメートル、日本海側の留萌市が約一九〇キロメートル、内陸の名寄市が約一七〇キロメートルだ。眼を転じて宗谷海峡を越えると、コルサコフ市が航路の距離で約一五八キロメートルと、余程近い位なのだ。
2015年の夏に私がサハリンへ行った際には、稚内からフェリーでコルサコフへ渡った。けれども、ハートランド社はこの年で撤退。2019年以降は定期航路が休止状態となっている。
https://www.city.wakkanai.hokkaido.jp/sangyo/saharin/
定期航路は本来、ノンパワー・セキュリティ(武器なき平和)の根幹である。コミュニティが健全であるための第一原則は「隣近所と行き来がある」「顔を知っている」ということだ。
なるほど、そうだなと思う。コロナ禍が終息したら、何とかまた定期航路を復活させてもらいたいものだ。
2016年7月10日、NPO法人国境地域研究センター、900円。