副題は「銃弾や砲弾が飛び交う戦場で勝利して生き残る」。
元陸上自衛官の著者が、現代の歩兵の基本的な点についてコンパクトにまとめた一冊。
「「歩兵」とは何か?」「歩兵の個人装備の重量」「兵站とは?」「匍匐前進」「行軍の速度」「地雷の処理」「防御は何のためにするのか?」「雪中カモフラージュ」「偵察と斥候」といった項目について、それぞれ文章1頁+図版1頁で解説している。
著者は「はじめに」の中で「国家主権とは軍事力を行使する権利にほかならないからです。ですから、民主主義すなわち国民が主権者であるということは、国民が軍事力の担い手であるということにほかなりません」と書いている。
賛否両論ある意見だと思うが、理屈としてはその通りだろう。戦争に反対する人も、軍事に関する知識は持っておくに越したことはない。
国から支給されるものを官給品といいます。英語ではガバメントイシューといいますが、これを略してGIといいます。兵隊のことをGIというのは、全身を官給品で包んでいることからきています。
戦争全体から見ると、この兵站活動こそが戦争の主体で、前線での戦闘などは、兵站という巨大な剣がぶつかり合って出ている火花にすぎないとさえいえます。
缶詰めは発明されたのに、缶切りが発明されるのはその48年も後で、それまで缶を開けるにはノミとハンマーが必要でした。
21世紀になって、偵察に用いる小型のドローンが歩兵部隊にまで配備されるようになりました。米軍を例にとれば、歩兵小隊には、手で投げて発進させ、90分程度の偵察ができるドローンが装備されています。
戦争をするべきでないのは当然のこととして、一方で現代の軍隊がどのような組織や装備になっているかを知っておくのは大切なことだろうと思う。
2018年11月25日、SBクリエイティブ サイエンス・アイ新書、1000円。