2021年03月19日

村上稔『買い物難民対策で田舎を残す』


徳島で「移動スーパーとくし丸」を立ち上げた著者が、買い物難民対策の現状と課題をまとめた本。コンパクトな体裁であるが内容は充実していて、信頼できる書き手だと感じる。

(明石海峡)大橋開通当時の我々は、「これから徳島は本土と地続きになってますます発展する」と信じて疑わなかったのですが、結果はその反対。「ストロー現象」の教科書にでも載るような事例になってしまったのです。
食べることは(とくに高齢になるほど)生きる楽しみの大きな部分を占めるものですから、豊かであることが求められます。(…)人は非常時でもない限り、「食べられたら何でもいい」とはならないものです。
ウイルスが明らかにしたのは、これまでずいぶん長く推し進められてきた一極集中、効率化のための密へ密へという方向性に、巨大なリスクが潜んでいたということです。

買い物難民対策は、単に買い物の話にとどまらず、中山間地域に暮らす人々の健康や福祉、さらには集落の存続にまで関わる問題である。山梨に住む私の母も、運転免許を返納してまず買い物に困ったことを思い出す。中山間地域と都市部が表裏一体の関係であることを思えば、都市部に住む人にとっても無関心ではいられない話なのだ。

2020年10月6日、岩波ブックレット、620円。

posted by 松村正直 at 08:25| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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